EIGO ROOMの【授業・レッスン実践レポ】では、現役の先生方に授業やレッスンの実践を紹介しています。今回は、EIGOROOM運営者の、つみきがこの記事を書きました。
3年生『Let's try!1』UNIT7の「This is for you」の授業実践レポートです。この単元の最終活動として、形のお店屋さん「Shape Shops」の活動を通し、形と数の復習を行いながらグリーティングカード(クリスマスカード)を作りました。子どもたちが、すすんで発話し、楽しみながら色や形の復習ができるおすすめの活動です。
また、一人一人との会話の時間を設けることができるので、すべての子の習熟度をはかるためにも最適な活動です。
授業者:つみき
EIGO ROOM管理人。元主任教諭、学級担任・外国語専科。みんなが楽しく参加できるような授業作りに取り組んでいます。
本時について
学年・単元名
3年生『Let's try!1』This is for you.
本時
4/4時
本時の目標
家族に感謝を伝えるグリーティングカード作りを通して、いろいろな形や色について欲しいものを尋ねたり答えたりする。
語彙
〈形〉circle, triangle, square, rectangleなど
〈数〉one, two, three, four
〈色〉red, green, pink, yellowなど
言語材料
What do you want?
I want~.
板書
授業の流れ
1. Warm UP/導入
挨拶をする。今日の日付や曜日、天気を子どもたちに確認し、日付カードと天気のカードを黒板に貼ります。教材リンク
2.Today’s Goal/今日のめあて
今日のめあて「ほしい形を伝えて、カードを作ろう」を伝えます。グリーティングカード(今回の場合は、クリスマスカード)を作っておうちの人に日ごろの感謝をこめてプレゼントすること、が今回の最終目標であることを確認します。教材リンク
Myこだわりポイント
誰のために作るかという「相手意識」を具体的にもたせることで、活動へのモチベーションをあげます。十分な時間を設定し、複数のカードを作成できるようにすることもあります。
3. Review, Practice Words/復習
「図形の言い方」と「I want~」の表現は既習事項なので、ここで合わせて復習します。各形の絵カードを黒板に貼りながら、形や色、数、"What do you want?" "I want ~"のフレーズを確認します。教材リンク
Myこだわりポイント
I want の後は、数+色+形の順になることを確認し、指で絵カードを指しながら何度も発話練習させます。この後の実際の活動でのやりとりを想定し、先生×クラス、先生×指名児童、児童同士など、さまざまな方法で練習をさせます。複数形にも気を付けるよう言及しますが、めあてには含まれていないのでそこまで強くは言いませんでした。
4. Demonstration/デモンストレーション
Shape Shopsの活動についての説明をし、デモンストレーションを行います。初めは、定型文や話型を提示しますが、デモンストレーションでは、話型にこだわらず、自然な会話を行います。先生だけのデモの後には、チャレンジしたい人を呼びかけ、代表としてみんなの前でやってもらう。数や色、形の表現をしっかり言えていることはもちろん、挨拶や表情など、いいところをピンポイントで褒めます。
Myこだわりポイント
事前準備として、Shape Shopsの「Star Shop」「Heart Shop」などの看板や、ハート型や星形などそれぞれの形に切りぬいた画用紙を用意します。クラフトパンチを使えば、すぐにいろいろな形に切ることができます。その他にも、好きな時にいつでも台紙や画用紙を選べるColored Paper Stationも教室の後方に設置します。教材リンク
5. Let's play!/活動
実際に子どもたちがShape Shopsに買い物をしに来ます。今回は単元のまとめなので、先生が店員になり、子どもたち一人ひとりとの会話の時間をしっかり確保することで、習熟度やつまずきも見られるようにします。
班ごとや名前の順にお店に来るようによびかけます。席についている子どもたちは、自由に台紙を選んだり、絵を書いたりメッセージを書いたりして待っています。好きな形をもらえることができた子から、カード台紙に好きなように貼っていきます。
Myこだわりポイント
この日はChristmas Special Dayとし、ALTを2人お招きしました。人手は多い方が、子ども一人ひとりとの時間をより確保することができます。
ひとこと
メッセージについては、今回はクリスマスが近かったので「Merry Christmas」と書いた見本の紙を一人ひとりに配布しました。
活動の会話例
Hello! What do you want?
I want 2 yellow circles!
Two yellow circles. OK!
Here you are.
Thank you. Have a nice day!
You too!
作品例
6. Reflection/振り返り
出来上がったカードをそれぞれ見せ合います。その際に、どんな形を使って、何を作ったかを発表させます。
振り返りを行います。英語でほしいものを伝えられたか、グリーティングカード作りを楽しめたか、などの確認をします。
Myこだわりポイント
英語で発表させる場合は、既習表現の「I like~」で代用することもありますが、今回は簡単な表現「I got ~」や「I used ~」「I made ~」を使って発表させました。振り返りは時間の関係で口頭のみにしました。
7. Greeting/挨拶
次の時間の授業の予告などをし、終わりの挨拶をします。
授業を終えて
この単元での活動では、他にも「T-shirt(またはKimono) ShopのデザイナーになってオリジナルTシャツ(着物)を隣の席の友達にプレゼントしよう」などの活動を行ってきました。しかし、多感な3年生にとって、せっかくI want~で友達に欲しいものを伝えても、「お気に入りのデザインにならなかった」「○○さんがやってくれない」など、自分がもらえるプレゼントに不公平感を感じる子が出てきてしまいます。
それに対し、今回のように「自分で好きな色を選び、自分で好きなデザインをする」活動は、どんな子でも夢中になって作成することができ、また「ALTや先生に自分の英語が伝わった!」という達成感を味わうことができます。またその成果物をおうちの人に持ち帰り、喜びを共有することができます。それにより、授業後の一人一人の満足度がとても高いと感じています。学校公開でこの授業を行ったことがありますが、保護者からも大好評でした(一部の方からは、「発話量をもっと確保した方がよいのでは」というご意見もいただきました)。
下準備はとても大変ですが、また来年も同じ授業をしたいなと思っています。