小学校の英語教科書は初めての改訂!
教科用図書(以下、教科書)が改訂され、令和6年度より公立の小学校では新しい教科書を使用して学習することをご存知でしょうか?(2学年続きのものは、旧教科書を使う場合もあり)
小学生5、6年生が使う外国語教科書は、外国語科が2020年に義務教育化されて以降、初めての改訂です。教科書が変わることに不安をもつ先生も多いようです。
では今回の改訂で外国語教科書はどう変わるのでしょうか? そこで今回は、令和6年度より使用される小学校5、6年生の外国語科(英語)教科書を発行している6社とそれらの教科書の内容を、簡単にご紹介します。ではさっそく見ていきましょう!(発行者番号順に紹介していきます)。
小学生英語教科書6社を紹介!
東京書籍 『NEW HORIZON Elementary』
まずは、東京書籍の『NEW HORIZON Elementary English Course 5』『NEW HORIZON Elementary English Course 6』、『NEW HORIZON Elementary English Course My Picture Dictionary』です。
英語教科書としてもっとも多く使われていると思われる代表的な教科書です。『New Horizon』の改訂編集ポイントは、下記の通りです。
- みんなが英語を大好きになる
- 英語で伝え合う
- 児童の学びと教員の指導に寄り添う
子どもたちが進んで取り組みたくなるようなしかけや、魅力的な言語活動などがたくさん詰まっています。扱う語彙や「書く」活動が、比較的多いのも特徴です。また、学習者用デジタル教科書は、直感的に操作できる簡単な仕様になっているとのことです。スクリーンショット機能も新しく搭載されています。「楽しい!」を引き出せるようなコンテンツがたくさん詰まっている教科書といえそうです。
開隆堂『Junior Sunshine』
つぎに、開隆堂出版株式会社から出されている『Junior Sunshine 5』『Junior Sunshine 6』、別冊の英語絵辞典『Junior Sunshine 5 Word Book』『Junior Sunshine 6 Word Book』です。
「学びを楽しくする」こと、「自分も他者も大切にする心を育てる」こと、そして「伝え合う喜びを味わえるようにする」ことの3本の柱を大切にし編集されたということです。『Junior Sunshine』の特徴は、下記の通りです。
- 学びが見える構成
- 聞きたくなる、話したくなるような題材・設定
- 主体的な学びを支援する充実のデジタルコンテンツ
各単元の目標やゴールの見通しがもちやすく、また子どもたち自身が成長を視覚化できるよう工夫されています。また興味、関心を引き出す大きなイラストが特徴です。巻末のCAN-DOチェックでは、単元の自己評価を記入し、ポートフォリオを作成できるようになっています。
三省堂『Crown Jr.』
三省堂からは『CROWN Jr. 5』『CROWN Jr. 6』『CROWN Jr. My Dictionary』です。
単元や授業の流れを見える化し、先生も子どもたちも見通しをもてるような工夫がされているということです。また、わかりやすい構造による目標、指導評価の一体化も図っています。『Crown Jr.』の願いと特徴は以下の通りです。
- 子どもたちが「確かな力」を身に付ける
- 子どもたちの「楽しい学び」が続く
- 子どもたちが「豊かな心」を育む
HOP→STEP→JUMPが一つのまとまりとなって単元を構成しているので、子どもたちが言語活動に向けて、自ら目標を立て、見通しをもち、主体的に学べるようになっています。親しみやすい個性豊かなキャラクターがたくさん出てくるのも、この教科書の特徴といえそうです。
教育出版 『ONE WORLD Smiles』
教育出版から発行されているのは『ONE WORLD Smiles 5』『ONE WORLD Smiles 6』です。
「ICTを活用したより豊かな言語活動」や、「人と人とをつなぐ大切なことばとしての授業」、「全人教育としての外国語としての授業」を大切にしてほしいという願いが込められ編集されたそうです。教科書『ONE WORLD Smile』の特徴として挙げられているのは、主に以下の3つです。
- 英語を楽しく学ぶ
- 英語で伝えあい、笑顔になる
- デジタルコンテンツで英語の学びを支える
友達との関わり合いを通して、気付きを得たり、自尊感情を高めたりしながら、クラスのみんなと協同し、学んでいける学習内容となっているようです。デジタルコンテンツは、音声や動画が豊富に搭載されています。また、新しく教科書紙面や指導書もすべてスマートデジタル化され、先生が指導しやすいよう工夫されています。
光村図書 『Here We Go!』
5社目は、光村図書の『Here We Go!5』『Here We Go!6』です。
『New Horizon』に続く人気の英語の教科書です。教科書『Here We Go!』の3つの特色は以下の通りです。
- 確かな英語の力を育む構成
- 互いの考えや気持ちを伝え合う言語活動の充実
- 楽しく学び、視野が広がる豊かな教材
こちらも親しみやすいキャラクターたちがたくさん登場する教科書です。アニメーションも多く、キャラクターたちと一緒に学習している感覚になりやすく、子どもたちの学習意欲を高められそうです。また、キャラクターが教室の子どもたちに語り掛けるような動画は、子どもたちの興味や関心を引き出し、活発なコミュニケーションのきっかけともなってくれそうです。
啓林館『Blue Sky』
最後に、啓林館『Blue Sky elementary 5』『Blue Sky elementary 6』です。
「言葉を使うための知識 ・技能がしっかり身に付く教科書」 「考える力を育む教科書」 「多様な文化 や考えを理解し 、他者に配慮する心を育む教科書」の3つを基本方針として掲げて編集されています。『Blue Sky elementary』では以下の3つの特色があげられています。
- 話す楽しさを大切にしたUNIT構成
- 「考える」を促すしかけ
- 学習者用デジタル教科書・教材QRコンテンツ
「もっと知りたい!」「もっと話したい!」というような、英語の楽しさや話す楽しさを大切にしたUNITの構成がされています。考える力を促すためのしかけを意識して作られています。
コンテンツの充実がカギ!
以上、令和6年度に改訂された小学校の英語教科書6社を紹介しました。(ちなみに、これまで学校図書から『JUNIOR TOTAL ENGLISH』という教科書が出されていましたが、今回教科書目録に載っていなかったので、英語教科書からは撤退したよです。)
各社、主体的な学びを大切にしていることや、子どもたちの興味、関心を引き出せる工夫やしかけをたくさんしていること、見通しや目標、ゴール、そして評価まで、子どもたちも先生も見通しをもちやすい構成になっていることなどは共通して大切にしていることがわかります。他にも多文化・異文化理解の教材も、どの教科書にも豊富に含まれていました。
さらに、今回の改訂での大きな変化は、コンテンツの充実だったのではないでしょうか。一人一台のデジタル端末を使った学習のサポートがしっかりされていることや、個別最適な学びや、共同的な学びを考慮したデジタル教科書の工夫がたくさん見られました。
ちなみに小学3、4年生の外国語は、義務教育ではなく必修科目として設定されており、正式には教科書ではなく副読本と呼ばれています。こちらは内容に大きな変更もなく、従来通り、東京書籍発行の「Let's try!1」「Let's try!2」を使います。
おまけ
EIGO ROOMでは、「令和6年度の使用予定の小学校英語教科書」について、全国の192名の小学校の先生にアンケートをとりました(令和6年度3月実施)。結果は以下の通りです。
使用予定教科書アンケート結果
- 東書『NEW HORIZON』48.8%
- 光村『Here We Go!』26%
- 三省堂『Crown Jr.』8.3%
- 啓林館『Blue Sky』6.3%
- 開隆堂『Junior Sunshine』5.2%
- 教出『ONE WORLD Smiles』4.1%
やはり『NEW HORIZON』を使う自治体が多く半数以上を占めています。次に『Here We Go!』が4分の1を占め、のこり4社の教科書が大差ない結果となりました。
それぞれの教科書や副読本の特色を生かして、最大限に活用した授業をしていけるといいね!